溶接機の動作
簡単で精密な溶接を可能にします。
技術を凝縮した専用ハンドピース
長時間使用しても疲れにくい、使いやすさを考慮したハンドピースです。先端部にタングステンチップ(電極)を取り付けて使用します。先端が溶接物に触れると自動でスパークする「オートモード」と、フットスイッチでスパークする「フットスイッチ制御モード」の2種類から選べます。溶接する際に、先端ノズルよりアルゴンガスが噴射します。スパーク時は、先端のタングステンチップは、上下にスライドします。
溶接時のハンドピースの動作
アーク用ハンドピースは、操作性を考慮した設計で作られています。オートモードでは、ペン先の電極が軽くワークに触れることにより、自動的にアルゴンガスを噴射し溶接します。溶接の直前にはビープ音(電子音)が鳴り、溶接されたことをお知らせします。ビープ音が鳴る前か鳴っている最中、ワークから針を外せば溶接を中止できます。溶接時には針が引き込み、ワークと電極が付かないように設計されています。
ハンドピース先端の電極針は、電極直径0.5mmと1.0mmの2種類が用意されています。電極の直径が太ければ大きな電流が流れるため、パワーは強くなります。直径が小さければ電流が流れづらく、弱い溶接になります。銀などのパワーを必要とする金属は、1.0㎜の電極を使うことをお勧めします。
2つの操作方法
フットでの操作も可能に
連動シャッター&LEDライト付きマイクロスコープ
Orion溶接機の使いやすさが、大幅にUPします
標準セットには、マイクロスコープが標準装備。遮光シャッターとLEDライト付きです。マイクロスコープには、溶接機と連動して開閉する全自動シャッターと、手元を明るく照らす調光機能付きLEDライトが標準装備。ハンドピースホルダーなど、Orion溶接機を使いやすくして作業効率をUPさせるための工夫が、至るところにされています。
エネルギー制御システム
150xと250xには以下の制御システムを搭載しています。
WeldIQ
WeldIQとは、完璧な溶接のための絶対的デジタルエネルギー制御システムです。作業者が3つの要素を完全にデジタル制御できます。パルスアーク溶接であれTIG溶接であれ、エネルギー供給を微調整する能力が、完璧な溶接と不完全な溶接の分かれ道となります。
①溶接深度(溶け込みの深さ)
エネルギーがワークピースに浸透する深さを、4段階で制御します。
Soft(90%) - 繊細な素材や薄板の溶接に
Standard(100%) - 標準的な溶接に
Fine(120%) - 過熱を抑えつつ強度の高い溶接に
MAX(150%)- 耐久性がほしい溶接に
②エネルギーの供給方法
エネルギーの放出方法を「クラシック」「スクエア」「トライアングル」の3種類から指定できます。それぞれ異なる方法でエネルギーを供給し、アークの挙動と熱分布を微調整します。この機能は通常、大型TIG溶接機やハイエンドのレーザー溶接機にのみ搭載されています。
③精度
求める溶接クオリティに合わせて、2つのモードから選択できます
<精密モード>
厳密に制御する必要がある場合に最適です。電極がワークピースに接触した状態で溶接が開始されます。このモードでは、電極への負荷が大きくなります。そのため、摩耗が早まる可能性がありますが、重要な溶接の際に精度を確保できます。
<チップ保護モード>
究極の精度が必須ではない場合に最適です。電極がワークピースから離れた状態で溶接が開始されます。エネルギーが最も近い接触点へ放電します。これにより信頼の高い溶接を維持しながら、電極への負荷を軽減することができます。
スマートエネルギーリリース
過剰なエネルギーは熱や摩耗、不均一な溶接の原因となります。しかし、少なすぎると溶け込みが浅くなり、耐久性が損なわれます。従来のパルスアーク溶接機は、必要な量に関わらず溶接ごとに蓄えられたエネルギーをすべて放出します。余剰エネルギーは内部部品に吸収されたり、熱として失われたり、不要な摩耗を引き起こします。このサイクルは劣化を加速させ、メンテナンスコストの増加や溶接機の寿命短縮につながってしまいます。
この問題を解決したのがスマートエネルギーリリースです。効率的にエネルギーを蓄え、必要な分だけを放出します。不要な作業不可を削減し、部品の過熱を防ぐことで効率的に動作します。
Tru-Fire技術
溶接工にとって誤射やアーク点火の不安定さは仕事の一部とも言われています。しかし誤射は時間を奪い、時にはワークピースが歪んだり脆くなる原因になります。この問題は、エネルギー出力が低い時に顕著になります。すなわち、精密さが必要な溶接こそ誤射しやすいということです。
この問題を解決したのがTru-Fire技術です。電極がワークピースに接触したことを検知すると、その瞬間に制御された点火パルスを放ちます。